他分野への応用
赤外領域のスペクトル分析を応用すれば建築分野におけるコンクリートの劣化(中性化)を非破壊的に検出することが可能である。東京大学の安岡研究室の研究事例を示す。現在のリフォーム業界では、コンクリートの内部剥離が起こると壁の表面分布の熱伝導に変化が生じることに着目し、赤外線カメラを用いた赤外線サーモグラフィーによる壁の温度分布のモニタリングが行われている。技術はリフォームだけではなく、トンネル内壁の欠陥検査や橋桁の検査など土木・建築分野全般への応用が期待できる。

回路基板の検査にハイパースペクトル技術を応用する研究として示した大阪電気大学の岡本らの事例がある。

基板上に実装する部品のスペクトル特性の違いから、単純な画像認識では識別が難しいゴミの同定や結線不良の早期発見に役立つと思われる。
この技術の延長として、異物検査へのハイパースペクトル技術の応用が期待できる。紫外線カメラおよび赤外線カメラを異物検査に応用した事例を紹介する。食品業界では、ソーセージなど加工食品内部に混入した髪の毛の検出が非常に大きな課題となっており、現状では未だ決定打は存在しない。


鶏卵の汚れを紫外線を用いて可視化した例がある。鶏卵は紫外線に対して赤い蛍光を発するが、糞尿の汚れのある場合には黄色い斑点状に可視化される。ハイパースペクトル技術を用いれば近赤外域の特性から評価可能といえる。

次に示す図は、本物の植物と造花の判定(偽造判定)にハイパースペクトルカメラを応用した事例である。評価にはRGB擬似表示を用いている。

リサイクル業界への期待もある。例えばガラスのリサイクルとして鉛ガラス、ソーダ石灰ガラス、ほうけい酸ガラスの3種類を分類するハイパースペクトルによる分析技術が完成すれば実用化が可能と思われる。
ITSへの応用を検討している事例を紹介する。次世代の無事故の自動運転システムを開発するために、人とそれ以外のもの(例えば道路、ガードレール、樹木等)とを識別するための特殊センサーにハイパースペクトルカメラに着目している企業もある(北海道工業大学佐鳥研究室の事例)。
ハイビジョン用ディスプレイの画質の評価にハイパースペクトル技術の応用を検討している企業もある。彼らは人に優しい質感のある画像の特徴をスペクトル的に捉え、数値化して定量的に評価することを狙っているのである。
化粧品を塗布した面を可視化した事例を紹介する。ファンデーション塗布面では素肌と比べるとスペクトルの違いがある。この特性を利用すれば塗布面を可視化することができる。

